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インフルエンザワクチンは注射とフルミスト、どちらを選ぶ?|免疫のつき方・効果・注意点
予防接種
こんにちは。小野クリニックです。
「注射とフルミストは、どちらがよく効きますか?」
「鼻のワクチンでも抗体はつきますか?」というご質問が増えています。
結論からいうと、健康な2歳以上19歳未満の方では、どちらか一方が常に優れているとはいえません。
日本小児科学会は、この年齢では注射の不活化ワクチンと、鼻から接種する弱毒生ワクチン(フルミスト)を同等に推奨しています。ただし、喘息や免疫不全などがある場合は、注射型が適しています。
この記事では、両者の違いをわかりやすく整理します。
フルミストを実際に接種している動画は当院Instagramに載せているので、よければご覧ください。


注射とフルミストの違いを一覧で比較
| 比較項目 | 注射型(不活化ワクチン) | フルミスト(経鼻弱毒生ワクチン) |
|---|---|---|
| 接種方法 | 腕に皮下注射 | 左右の鼻に1回ずつ噴霧 |
| 国内の対象年齢 | 生後6か月以上 | 2歳以上19歳未満(2〜18歳) |
| 小児の接種回数 | 6か月〜12歳は通常2回、13歳以上は通常1回 | 年齢にかかわらず1シーズン1回 |
| ワクチンの種類 | 感染性をなくした不活化ワクチン | 病原性を弱めた生ワクチン |
| 免疫の特徴 | 主に血液中の抗体をつくる | 鼻粘膜の抗体、血液中の抗体、T細胞応答を誘導 |
| よくみられる副反応 | 接種部位の赤み・腫れ・痛み、発熱、だるさなど | 鼻水・鼻づまり、咳、のどの痛み、頭痛、発熱など |
| 特徴 | 幅広い年齢・持病の方に使用できる | 針を使わず、対象年齢では1回で完了 |
※接種回数や適否は、年齢、接種歴、基礎疾患、当日の体調などにより医師が判断します。
「抗体のつき方」はどう違う?
注射型は、主に血液中の抗体を増やす
注射型は、感染する力をなくしたウイルス由来の成分を皮下に接種します。免疫はその成分を目印として覚え、主に血液中の抗体をつくります。
インフルエンザワクチンの研究では、赤血球凝集抑制抗体(HAI抗体)などの血清抗体価が、免疫反応の指標としてよく使われます。
フルミストは、鼻の粘膜でも免疫反応を起こす
インフルエンザウイルスは、主に鼻やのどの粘膜から侵入します。
フルミストは、弱毒化したウイルスを鼻粘膜に噴霧し、自然感染に近い場所で限定的な免疫反応を起こします。
フルミストにより次の免疫反応が誘導されるといわれています。
- 鼻などの粘膜で働く抗体(主に分泌型IgA)
- 血液中の抗体
- 感染細胞への対応に関わるT細胞応答
ここで大切なのは、血液中の抗体価だけでは、フルミストによる防御をすべて評価できないということです。
フルミストでは血清抗体の上昇が注射型ほど目立たない場合でも、鼻粘膜の抗体や細胞性免疫が働いている可能性があります。そのため、「採血で抗体価が高い方が必ずよく効く」と単純には比較できません。
効果はどちらが高い?
日本小児科学会は、2歳以上19歳未満において、注射型とフルミストの発症予防効果に明確な優位性は確認されていないとしています。流行するウイルス株とワクチン株の一致、年齢、過去の感染・接種歴などにより、効果はシーズンごとに変わります。
どちらのワクチンも、接種すれば感染や発症を100%防げるものではありません。
主な目的は、発症する可能性を下げ、発症した場合の重症化を防ぐことです。
フルミストが選択肢になりやすい方
- 2歳以上19歳未満で、対象外となる持病や治療がない
- 注射への恐怖が強い
- 小児の2回接種が負担になりやすい
- 鼻への噴霧を受け入れられる
フルミストは針を使わず、1シーズン1回で完了することが大きな利点です。ただし、鼻水などの副反応は珍しくありません。主な副反応としては、鼻閉・鼻漏59.2%、咳27.8%、のどの痛み17.9%、頭痛11.2%が報告されています。多くは一時的ですが、接種後に強い症状や体調の変化があればご相談ください。
注射型を優先する方・事前相談が必要な方
日本小児科学会や国内添付文書を踏まえると、次の方は注射型を選ぶ、または接種前に必ず医師へ相談する必要があります。
- 重い気管支喘息がある、現在ゼーゼーしている
- 免疫不全がある、免疫抑制治療を受けている
- ご家庭などに重度の免疫不全の方がいる
- ゼラチンに重いアレルギー反応を起こしたことがある
- 接種前後に抗インフルエンザ薬を使用した、または使用予定がある
喘息のある方について、日本小児科学会は不活化ワクチンを推奨しています。
また、フルミストは生ワクチンのため、接種後1〜2週間は重度の免疫不全の方との密接な接触をできるだけ避ける必要があります。
卵アレルギーは、重症度や過去の症状によって判断が異なります。自己判断で接種をあきらめず、予約時または診察時に具体的な症状をお伝えください。
結局、どちらを選べばよい?
健康な2〜18歳では、注射が苦手で1回で終えたい場合はフルミストが便利です。
一方、重症な気管支喘息などの基礎疾患がある場合、同居家族に重度の免疫不全者がいる場合、鼻への噴霧が難しい場合は、注射型が選びやすいでしょう。
「粘膜免疫がつくからフルミストの方が上」「血液の抗体価が上がるから注射の方が上」と一つの指標だけで決めるのではなく、年齢、持病、服薬、家族環境、接種回数、本人の希望を合わせて選ぶことが大切です。
小野クリニックの2026年度接種案内
小野クリニックでは、2026年10月1日からインフルエンザワクチン接種を行っています。
- 注射型:予約不要。診療時間内にお越しください
- フルミスト:2〜18歳、完全予約制。お電話で「フルミスト希望」とお伝えください
- 電話:078-739-2552
- 持ち物:本人確認書類。お子さんは母子手帳もお持ちください

神戸市の助成制度については、対象年齢や世帯条件があります。費用を含む最新情報は、当院の2026年度インフルエンザワクチン接種のお知らせをご確認ください。
須磨区・垂水区で、どちらのワクチンが合うか迷われる方は、お気軽にご相談ください。
執筆者情報

医師
小野 正大ONO MASAHIRO
小野クリニックは、地域の皆様の健康を支える「身近なパートナー」です。
内視鏡検査を通じて、病気の予防と早期発見をサポートし、笑顔あふれる毎日を共に築きたいと考えています。
経歴
-
2014年
香川大学医学部卒業 -
以降、香川大学医学部附属病院および、関連病院で消化器内科医としてキャリアを積む -
2017年
香川大学医学部附属病院 消化器内科医員 -
2021年
香川大学大学院にて医学博士号取得 -
2023年
香川大学医学部附属病院 地域医療連携医学講座講師 -
2024年
香川大学医学部附属病院 地域医療連携医学講座准教授
資格・認定
- 医学博士
- 日本内科学会認定医
- 日本消化器病学会専門医
- 日本消化器内視鏡学会専門医
- 日本胆道学会認定指導医
- 日本消化管学会専門医
- 日本ヘリコバクター学会H.pylori感染症認定医
- 日本病院総合診療認定医
- 上部内視鏡スクリーニング認定医
- 大腸内視鏡スクリーニング認定医
- 難病指定医
