お腹の不調、それは「過敏性腸症候群（IBS）」かもしれません

はじめに

お腹の痛み、下痢や便秘をくり返す…。
検査では「異常なし」と言われても、毎日の生活がつらい。
そんなときに考えられるのが過敏性腸症候群（Irrirtable bowel syndrome、以下IBS)です。

IBSは、腸の動きや感じ方が敏感になって起こる「機能性腸疾患」です。
病気というより、腸の働きのバランスが崩れた状態と考えると分かりやすいかもしれません。

IBSの４つのタイプ

IBSには、症状の出方によって次のような４つのタイプがあります。
タイプを知ることで、治療や生活改善の方向が見えます。

タイプ	主な症状	特徴
下痢型（IBS-D）	急にお腹が痛くなり、下痢をする。外出時や朝に多い。	ストレスや冷え、緊張で悪化しやすい。
便秘型（IBS-C）	便が硬くて出にくい。排便後もスッキリしない。	女性に多く、食物繊維のとりすぎで悪化することも。
混合型（IBS-M）	下痢と便秘をくり返す。	天気・睡眠・食事など、生活の影響を受けやすい。
分類不能型（IBS-U）	どれにもはっきり当てはまらないタイプ。	状況で変わることが多い。

（出典：日本消化器病学会、Rome IV診断基準）

IBSに似た見逃したくない病気も

IBSそのものは命に関わる病気ではありません。
しかし、似た症状をもつ他の病気の中には、
早期発見・治療が必要なものがあります。

• 大腸がん・ポリープ（40歳以上は要注意)
• 炎症性腸疾患（潰瘍性大腸炎やクローン病など）
• 顕微鏡的大腸炎（見た目では分からない炎症）
• 胆汁性下痢

これらを区別するために、胃カメラ・大腸カメラが大切な役割を果たします。

内視鏡をすることでわかること

胃カメラ（上部内視鏡）

「みぞおちの痛み」「胃もたれ」「食後の膨満感」などが続くとき、
胃カメラでは胃の粘膜を直接観察し、次のような病気を確認できます。

• 慢性胃炎やびらん性胃炎
• ピロリ菌感染の有無（今感染されている方は除菌治療により胃癌リスクを下げることが可能）
• 胃・十二指腸潰瘍
• 早期の胃がんやポリープ

※ 50歳以上の方は、2年に1回の胃がん検診(内視鏡)が厚生労働省の推奨です。
自覚症状がなくても、定期的に受けることで早期発見につながります。

胃カメラについての詳しい説明はこちらから。

大腸カメラ（下部内視鏡）

「下痢や便秘が長引く」「便に血が混じる」「体重が減る」などのときに、
大腸カメラでは大腸の内側をくまなく観察して、次のような病気を調べます。

• 大腸ポリープ・大腸がん（その場で切除できる場合もあります）
• 炎症性腸疾患（潰瘍性大腸炎・クローン病など）
• 顕微鏡的大腸炎（見た目では分からない炎症）
• 痔・直腸炎などの出血源の確認

40歳以上は、毎年の便潜血検査（FIT）＋必要に応じて大腸内視鏡検査が国の推奨です。
検査で「ポリープが見つかって切除→将来のがんを予防できた」という方も多くおられます。

大腸カメラについての詳しい説明はこちらから。

検査をおすすめするサイン

次のような症状がある場合は、「IBSかな？」と思っても一度は内視鏡検査を。

• 便に血が混じる、黒い便が出る
• 発熱、貧血、体重減少がある
• 夜中に下痢で目が覚める
• 家族に大腸がんや炎症性腸疾患がいる

IBSとうまくつきあう方法

検査で大きな異常がなければ、まずは安心です。
そのうえで、IBSの症状をやわらげるためにできることがあります。

食生活

• 規則正しく、腹八分目を意識
• カフェイン・アルコール・脂っこい食事を控える
• FODMAP（発酵性糖質）の摂取過多に注意しましょう
  以下に高FODMAP食品の代表的なものを挙げています。参考にしてください。

生活習慣

• 睡眠を整える
• 軽い運動を毎日続ける
• ストレスを溜めない

治療

症状やタイプに合わせて、

• 整腸薬
• 腸の動きを調整する薬
• 抗不安薬や漢方薬
  などを患者様の症状に合わせて使い分けます。

小野クリニックでできること

当院では、

• 眠っている間に受けられる胃カメラ・大腸カメラ
• 胃・大腸の同日検査にも対応
• 必要に応じて採血で炎症や感染を確認

お腹の不調を気のせいで終わらせず、確かめる安心・整えるサポートを提供しています。

まとめ

• IBSは「腸が敏感に反応してしまう」病気。４つのタイプで症状が異なります。
• 似た症状の中には重大な病気が隠れていることも。
• 胃カメラ・大腸カメラで他の病気がないことを確かめることが、安心の第一歩です。

気になるお腹の症状が続く方は、どうぞ一度ご相談ください。

🏥小野クリニック(循環器内科、消化器内科、外科、小児科)
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